ルクセンの独り言。

音楽とアイドルとテニスとラーメンと数学が好きなオタクの独り言。

『むてきのうた』は「無敵の歌」(2)

前回(『むてきのうた』は「無敵の歌」(1) - ルクセンの独り言。)はコード進行について数列を用いて考察しました。

そこでキーとなりそうなことが分かった「4度」について深く考察していきたいと思います。

 

◆完全4度と増4度

同じ「4度」にも、「完全4度」 の他に「増4度」というものがあります。

 

詳しい話はググって頂きたいのですが、

大雑把に言うと

 

完全4度上→半音×5上の音

増4度上→半音×6上の音

 

です。

 

複素数平面と4度

同じ4度にも「完全4度」「増4度」があると言いました(本当は「減4度」もありますが)。

それを可視化していきたいと思います。

 

以下、角度を弧度法で表記します。

f:id:rukusen-rukusen:20170923161505j:image 

複素数平面上に原点Oを中心とする半径1の円をかき、点E♭を(1,0)にとります。

そこから半音上がるたびに\frac{\pi}{6}回転するように点E♭, F, G, A♭, B♭, C, Dをとります。

 

このとき、i虚数単位として、

E♭=1

F=\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i

G=-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i

A♭=-\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}i

B♭=-\frac{\sqrt{3}}{2}-\frac{1}{2}i

C=-i

D=\frac{\sqrt{3}}{2}-\frac{1}{2}i

複素数を得ます。また、便宜上これらを順に{p_1},{p_2},\cdots,{p_7}とします。

 

すると、代理コードで置き換えたコード進行を

複素数の数列

p_4,p_7,p_3,p_6,p_2,p_5,p_1

で表せます。

これを数列\{z_n\}(n=1,2,\cdots,7)とすると

{z_1}=-\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}i

複素数平面上においてz_2z_1\pi回転させたもの、すなわち\frac{5}{6}\pi回転させた後さらに\frac{\pi}{6}回転させたものであるから

{z_2}={z_1}\cdot(\cos\frac{5}{6}\pi+i\sin\frac{5}{6}\pi)\cdot(\cos\frac{\pi}{6}+i\sin\frac{\pi}{6})

={z_1}\cdot{z_1}\cdot(\cos\frac{\pi}{6}+i\sin\frac{\pi}{6})

={z_1}^2\cdot(\cos\frac{\pi}{6}+i\sin\frac{\pi}{6})

(※後々わかりやすいように\cos\frac{\pi}{6}+i\sin\frac{\pi}{6}極形式のまま残してます。)

以降\frac{5}{6}\piずつ回転させるから、以下が得られます。

{z_1}=-\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}i

{z_n}={z_1}^n\cdot(\cos\frac{\pi}{6}+i\sin\frac{\pi}{6}) (n=2,3,\cdots,7)

 

こうしてみた時に、やっぱり気になるのが\cos\frac{\pi}{6}+i\sin\frac{\pi}{6}の部分です。

これ、何なんでしょうか?

これが無かったら{z_n}=(-\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}i)^nとなって、なおかつ-\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}iは完全4度だからめちゃくちゃ綺麗だったのに。

 

もうお気づきですか?

 

完全4度をさらに\frac{\pi}{6}回転する、すなわち完全4度+半音上です。

 

そうです。

 

ここで増4度の登場です。

 

では、増4度はいったいどんな響きなのでしょう。

周波数比は32/45と非常に複雑です。

完全4度で規則正しく回転する中に、1小節だけこの複雑なコードのイレギュラーが入ります。

 

規則正しいのに一つだけ必ずしも綺麗ではないコードが入ることによって、2小節目でどこか「不安感」や「物寂しさ」を感じます。また、しばしばオンコードにすることでそれが強調されます。

 

この「不安感」を感じるイレギュラーこそが、この進行が「エモい」最たる所以なのです。

 

かなり長くなってしまったので、続きはまた次回お話しましょう。