『むてきのうた』は「無敵の歌」(2)
前回(『むてきのうた』は「無敵の歌」(1) - ルクセンの独り言。)はコード進行について数列を用いて考察しました。
そこでキーとなりそうなことが分かった「4度」について深く考察していきたいと思います。
◆完全4度と増4度
同じ「4度」にも、「完全4度」 の他に「増4度」というものがあります。
詳しい話はググって頂きたいのですが、
大雑把に言うと
完全4度上→半音×5上の音
増4度上→半音×6上の音
です。
◆複素数平面と4度
同じ4度にも「完全4度」「増4度」があると言いました(本当は「減4度」もありますが)。
それを可視化していきたいと思います。
以下、角度を弧度法で表記します。
複素数平面上に原点を中心とする半径の円をかき、点E♭をにとります。
そこから半音上がるたびに回転するように点E♭, F, G, A♭, B♭, C, Dをとります。
このとき、を虚数単位として、
E♭
F
G
A♭
B♭
C
D
の複素数を得ます。また、便宜上これらを順にとします。
すると、代理コードで置き換えたコード進行を
複素数の数列
で表せます。
これを数列とすると
複素数平面上においてはを回転させたもの、すなわち回転させた後さらに回転させたものであるから
(※後々わかりやすいようには極形式のまま残してます。)
以降ずつ回転させるから、以下が得られます。
こうしてみた時に、やっぱり気になるのがの部分です。
これ、何なんでしょうか?
これが無かったらとなって、なおかつは完全4度だからめちゃくちゃ綺麗だったのに。
もうお気づきですか?
完全4度をさらに回転する、すなわち完全4度+半音上です。
そうです。
ここで増4度の登場です。
では、増4度はいったいどんな響きなのでしょう。
周波数比は32/45と非常に複雑です。
完全4度で規則正しく回転する中に、1小節だけこの複雑なコードのイレギュラーが入ります。
規則正しいのに一つだけ必ずしも綺麗ではないコードが入ることによって、2小節目でどこか「不安感」や「物寂しさ」を感じます。また、しばしばオンコードにすることでそれが強調されます。
この「不安感」を感じるイレギュラーこそが、この進行が「エモい」最たる所以なのです。
かなり長くなってしまったので、続きはまた次回お話しましょう。